広大な敷地を建築で分節し、その間隙の空間を、テーマごとにイメージを変化させ、緑を主体としてまとめあげている力量は高く評価できる。CG表現も優れており、とくに植栽については見事に樹種を描き分けることによって、各庭空間における緑の役割を明確化している点が素晴らしい。“里庭”“露地”などの庭提案に、意味の裏付け、伝統文化の背景があれば、さらに良い作品に。植栽を内外から見えるようにした庭、プライバシーを高めた庭、それぞれを繋ぐメインゲート。全体のバランス設計を調整することでさらに良さは増すであろう。

パースだけではあるが唯一の手描き入賞作品。ガーデニングの表現が優しい印象を受け、色彩イメージや華やかさもあり、手法としては魅力的で目に止まった。優美な曲線と上質素材で構成された庭園デザインで、施主の“非日常的な迎賓の庭“という希望を確かな形にしている。ディテールにもこだわった様子が見て取れ、何より真っ直ぐに施主を見てプランに取り組むデザイナーの情熱が伝わってきた。構造物はしっかりとしたCAD設計が行われているから実物件としては問題ないが、エクステリア提案としてどうあるべきかを考えていきたい作品。